歯列矯正はどんな場合に必要か、歯並びの悪い人に起きるトラブル

歯の治療と予防

八重歯や乱杭歯、出歯など、歯並び・歯列に関する悩みを抱えている人は、成長途中の子供たちだけでなく、骨格の成長がすでに止まっている大人でも意外と多いものです。

歯並びが良くないと聞くと、ついつい見た目のことだけを考えてしまいがちですが、

歯列がきれいに整っていない場合、上下の歯の噛み合わせが悪いことから、様々な病気やトラブルを招いてしまう原因にもなりかねません。

不正な噛み合わせによって起きる主な症状には、歯磨きをうまく行えないことで虫歯や歯肉炎にかかりやすいことや、いびつな歯が当たることで口内炎にもなりやすく、発音障害や歯の痛みを引き起こすこともあります。

歯並びの不正は顎関節症になる原因の一つでもあり、食べたものをうまく咀嚼することができないために、消化不良や栄養障害による体重の減少といった深刻なトラブルを起こしてしまう人もいます。

人間の顎の関節部分には三叉神経と呼ばれる脳神経が通っており、噛み合わせが良くない人ではこの神経がつねに刺激されるため、聴覚障害や耳鳴りなどの症状を誘発したり、めまいや頭痛といった脳の病気につながることもあります。

また、噛み合わせの不正は慢性的な肩こりを招きかねず、ひいてはホルモンバランスの異常など、頭部や口の中だけではない全身の不調や病気を起こす要因となってしまいます。

こうした歯列の不具合による多くの症状は、歯科医院で行われる歯並びの治療によって防ぐことが出来ます。

子供の場合は乳歯から永久歯へと生え変わる期間があり、永久歯は6歳ぐらいから徐々に生え揃ってきます。

そのため、子供の歯列補正はだいたい6歳から10歳までの時期に始められることが普通です。

一方、大人の歯並びの不正は、歯と顎の大きさが上手く合っていない人や、頭蓋骨の発育異常、頬杖をつく、つねに同じ側を下にして眠る、といった日頃の癖や生活習慣によっても起きる場合があります。

子供では、新しく生えてくる永久歯の位置を調整するという、歯の成長補正が基本ですが、大人に対してはワイヤーやブラケットによって、すでに生えている歯の位置を強制的に変える処置となるため、子供よりも長い時間がかかります。

子供の矯正治療は1年から2年、大人では約1年から3年程度の期間が必要だとされています。

治療の間はつねに歯のなかに異物を抱えていることになり、器具が見える表側矯正であれば見た目が気になることもあります。

ですが、様々な病気や疾患を予防することができ、見た目を改善することで表情にも自信が持てることを考えれば、歯の矯正によって得られるメリットは多いと言って良いでしょう。