審美歯科といえば歯の見た目を美しくするだけの治療と思われがちですが、その治療は歯の寿命も伸ばすことができることは意外と知られていません。
保険の通常の診療では神経の治療が終わった歯に金属のコアと呼ばれる土台を立てます。
これを形成して型取りをし、技工所で制作したパラジウムなどを合成して作った銀歯が入ります。
前歯の場合はこの金属の表面にプラスチックを張り付けたものが入ります。
選べる色は5色前後です。金属がベースのため、透明感はありません。
審美歯科では、土台から金属を一切使わず作ることができます。
土台はファイバーコアと言うガラス繊維のものが入ります。
ファイバーコアは金属の土台とは違い人の歯に近い弾力を持っていますので、自分の歯の根っこにかかる力をその弾力で受け止めます。
かたいものを不意に噛んでしまったり眠っている間の噛みしめなどによる歯根の破折を防ぎます。
歯根が折れてしまうと、痛みもあり、破折した部分に細菌が入って炎症を起こす可能性があるので歯を抜かざるを得なくなります。
審美歯科では土台だけではなく、上部構造でも銀歯ではなくセラミックで歯を作ります。
セラミックは透明感がある素材で、前歯などでは特にその美しさを実感することができます。
自然の歯は若干の透明感があるのです。
またセラミック素材の歯は、選べる色も20色以上あり、自分の歯により近いものを作ることが可能です。
神経まで浸食されていない歯の場合は、土台を作らないことがほとんどです。
セラミックを入れる場合は銀歯よりも削る量が少なくて済むと言うメリットがります。
歯は削れば削るほど弱くなってしまいます。
セラミックは金属よりも薄くても強度が高いため、削る分量を削減できるのです。
また以前は前歯にしか使っていなかったその場で詰めることができるレジンも改良が重ねられ、奥歯でも詰めることができるようになってきています。
プラスチックにセラミックを混ぜたハイブリッドの場合は、奥歯の噛む力にも耐えることができるようになりました。
色もたくさんあり、重ねたりすることで作り出せる色のバリエーションは無限に近いので、自分の歯と全く同じ感じで形成されます。
奥歯の場合は、まず治療した歯だとは分からないほどです。
またこの治療の良い点は少し欠けてしまっても、またハイブリッドレジンを足して治すことができる所です。
銀歯の場合はどこかがかけてしまうと作り直さなくてはなりません。
見た目だけの美しさだけではなく体にも優しく、5年、10年の長い目で見たときに歯の寿命を伸ばし、より長く自分の歯で食事ができる治療です。